created : 2003.04.20
○僕：２７歳。男。兵庫県淡路島生まれ。大阪在住の自称麺食い。旅人。しかし方向音痴。性格は中途半端。自分に酔うタイプ。ちょっとオタク。えせ阪神ファン。ニックネームは、てる、Ｔ池君、けんちゃん、うに君、さだまさし。
○サトミ嬢：年齢不詳。女。東京都在住のバックパッカー。四国初心者で麺食いではない。彼女の行動が読めない時が往々にしてある。「うわ〜おもしろそ〜♪」が口癖。
○Ａ先輩：２８歳。女。神戸市在住。高校の時の部活の先輩。美人。人妻。短大生の頃、冷凍うどんにかなりお世話になったらしい。本場のうどんはどうなんか聞いてないので分かりません。
○Ｓ藤先輩：年齢？。男。以前勤めていた会社の先輩。トライアスロンの選手。大阪の美味いお店にかなり詳しい。
○Ｍ田君：高校の時の同級生。キットカット好き。
○Ｂ惣君：高校の時の同期生。ぱりんこ好き。
○TAKAOさん：香川県在住のうどん食い。うどんの話を始めると止まらない。その筋ではかなり有名。今回めちゃくちゃお世話になりました。もう、神様のような人です。
○別Ｐ君：年齢？。男。香川県民かと思っていたけど実は京都府民。食べ歩きの代名詞。ミスター食べ歩き。そのうち、「ＴＨＥ別Ｐ」と言えばうどん食べ歩きを指すようになるんとちゃうやろか？Ｔ尾団長も「別Ｐ君状態で〜」って風に使こてはったし・・。その日は近い！？「歩いて行けないうどん屋は無い。」を自ら証明した人。その筋ではかなり有名。
○imo-san：年齢？。男。大阪在住のうどん人。貞光から琴平まで歩ききったすごい人。強靭な精神と体力の持ち主。毎週のように香川へうどんを食べに行っている。うどんの神に取り憑かれとんとちゃうやろか。
○Ｎ村君：２５歳。男。公務員｡京都府在住。うどん好きだが量は食えない。旅人ではない。ニー・マル・ジュウ号室の人。
○くまさん：広島県在住の麺食い。出身は徳島県鳴門市。度がすぎる阪神ファン。電話帳で片っ端から福山市内のラーメン店を全て食べ歩いた人。場合により大食い。「恐るべき」「うまひゃひゃ」を持ち込んだのもこの人。
○ばくさん：広島県在住の麺食い。麺だけでなく何でも食います。うどん打ち、蕎麦打ちもこなす。ラーメンにもかなりうるさい。この人のおかげで麺食いに目覚めた。阪神ファンではない。
○親父：６８歳。男。兵庫県淡路島在住。僕の親父。うどん好き。そうめんも好き。昔、土器川のはたで食べたうどんの味が忘れられず、今でも探している｡『うどんは、かとなかったらあかん。』らしい。
そう、あれは忘れもしない３月のいつだったか。（って忘れとるやないの！）いっぺん使こてみたかったんよな〜これ♪
東京に住んでるサトミさんから携帯にメールがあった。「四国どこがおすすめかしら？」３ヵ月ぶりのメールがたった一行だけかいっ！
このサトミ嬢、歳は僕より２つか３つぐらい上（本人談）の旅好きの女性である。今からちょうど一年前の３月、僕はある日突然無性にとんこつラーメンが食べたくなってムーンライト九州に飛び乗り『九州一周ラーメンツアー（一人旅）』に出かけた。博多で２軒、久留米で３軒、朝倉で蕎麦１軒、熊本で２軒、鹿児島で２軒、桜島行きフェリーを往復してフェリーの運賃より高いうどんを２杯、宮崎で蕎麦１軒を食べ歩き、５日目の晩に宮崎のユースホステルに泊まったときの事である。
じつは今回わざわざ宮崎で泊まったのには理由があった。なんでもこの宮崎市内には、我らが宿敵チームの監督であるミスターＮ嶋が宮崎キャンプに来るたび、必ず立ち寄るうどん屋があるらしいとの情報を、独自の情報網により事前にキャッチしていたからである。（たまたま、ＴＶつけたらやっとっただけやがな。）一応、讃岐以外のうどん文化にも広く触れてみたいという建前のもと、果たして、ミスターはうどん人なんかどうなんか？？もし、そのうどんがまずかったら、うどんをこよなく愛する虎ファンにとっては、これ以上ない逆転のチャンス。ミスターをおもいっきり笑い飛ばせる絶好の機会である。これは、帰ったら虎キチのくまさんと善通寺の山下の大将に報告せなあかんな〜（注１）。しかも、これをネタにくまさんとビール飲んだらうまいがな〜♪
っと思わずにやけてしまう顔を無理に平静を装い、某局の諜報部員のような忍び足でひとり夜の宮崎を小一時間ほど大迷い歩いた。（方向音痴なんかい！）やっとの事でたどり着いた時にはすでに遅く、「ミスターのうどん屋（店の名前わすれてしもた）」の営業時間はとっくに終わっていて、重たい足を引きずりながら「くそっ、ミスターのくせにっ！」とか錯乱して訳わからんことをほざきながら泣く泣くユースに帰ったのである。（なんしょんな、おれ（;_;））
するとユースの談話室で夕食を取っている人がいるっ！これはもう、聞いてもらうほかない！（ええ迷惑や。）「ほんまもう、よう言わんわ。」言うて、一部始終を面白おかしく話したところ、ぜひ私も食べてみたいと言うではありませんか。来たで来たで、やっぱ１人で食うより２人の方が美味いもんな。（^^）v
次の日、そのコードネーム「ミスターＮ嶋うどん」でミスターがいつも食べる釜揚げを一緒に食べて、さらにうどん代までご馳走になったのが、このサトミ嬢である。いやしかし、僕は長田in香の香の方が好きやけども、ココの釜揚げはちょっと美味かった。讃岐うどんとはちょっと違うけどミスターもええ店しっとるやないの・・。と弱みを握るどころかミスターの株が上がってしもたやん。ちゅうか結局、後日このネタでくまさんと飲むんですけどね。♪（;¬_¬）
話は戻って、このサトミ嬢から「四国のおすすめはどこ？」ってたった一行だけ携帯にメールが来たんである。もう、四国と聞いて黙っていられる僕ではない。すぐさま返信メールを・・
「初心者にはちょっと難しいかも知らんケド、なかむらがおすすめ（^^）v善通寺から歩いて１時間半ぐらい。」
送信。（笑）（ちゅうか、道後温泉や足摺岬とか差し置いて、いきなり「なかむら」かいっ！）
いや、待てよ。四国に来るの初めての麺食いでもない女性にひとりで「なかむら」はちょっとディープすぎるか・・しかも「なかむら」がなんなんかこのメールだけではさっぱり分からんやん♪まさか、善通寺から高知の中村市まで歩いたりせんよなあ・・（;¬_¬）。そこまでアホちゃうよなあ、サトミさん・・。やっぱり琴電羽床から徒歩４０分の山越のほうがええかな？でも・・宇宙一ごつい山下のぶっかけうどんも食べてもらいたいしなあ。せっかく東京から来るんやから、おか泉の冷天おろしも捨てがたいし・・。やまうちのひやあつも、谷川米穀店のしょうゆかけただけってものびっくりするやろなあ・・。赤坂の「ま〜た来〜てね〜♪」・・！！！ええ〜い。もう、電話する。
「あ、もしもしサトミさんですか？谷池ですけど、おひさしぶりです。じつは僕もちょうど３月２８日に香川にちょっと用事あるんですよ。（ほんまかいな。）良かったら一緒にうどん屋回りますか？」（笑）
ちゅうか、人に紹介してたら自分も食いたくなってくるやん。それに僕、２８日に岡山でライブ見なあかんから（注3）、え〜と、前日夜行で香川に入って、午前中うどん食べて、夕方岡山でライブ見る。・・これ完璧やん♪（^^）v
なんでも、サトミ嬢は２５日に四国入りで４月１日までに東京に帰れればええらしい。しかも、ちょっとディープなとこへ行きたいらしい。
「ほんなら僕もう一日早よ行きますから、天気もええし（調べてないけど・・。）、１日目はちょっと歩くけどハイキングがてら谷川米穀店でうどん食うて、近くの温泉でも入って、２日目に中讃あたり回りますか〜？もう、めちゃくちゃ美味いうどん屋連れて行きますよ。ちょっと３時間ぐらい歩きますけどだいじょうぶですか？かなりディープ（山奥）ですよ。」（何言うとん、俺。）
「うわ〜楽しそう♪じゃあ、２７日の朝、高松で合流しましょう。」
ちゅうか、ホンマに歩くんかいっ！imo-sanのレポートでは行き３時間、帰り４時間やで。女が歩ける距離ちゃうで。まじで歩くんかい。じつは何度も、「めっちゃしんどいで、まだ達成した人５人もおらへんで。ホンマに歩く？」ってサトミ嬢に確認したんやけど、「だいじょうぶ、歩けるよ。楽しそう♪」って・・。
まだ自分の時刻表買うてないので詳しいことが決まったらまた連絡するということで、一旦電話を切る。電話で決まった大体の予定は次のとおり。僕は２６日の夜自宅を出て、00:30三ノ宮からジャンボフェリーに乗って２７日早朝四国入り。高松でサトミ嬢と合流。そこから貞光までＪＲで移動して、その後、谷川米穀店まで徒歩で移動。うどんを食べたら、さらに歩いて琴平まで帰る。翌日は、午前中に中讃のディープなところを食べ歩き、最後におか泉の横の宮脇で「TJ Kagawa４月号」を買う。ここでサトミ嬢とはお別れ。坂出からマリンライナーで本州へ渡って、夕方岡山でライブを見る。というとんでもないスケジュールになってしまった。
えらい、約束してしもたがな。
それもこれも、僕がimo-sanのレポート読んでしもたんがあかんかった。１年ぶりぐらいにon-senさんのサイトへ行ったら、あ、こんなコーナー出来てるとか思ってついうっかり読んでしもた・・。ほんまもう、imo-sanなんちゅうことしてくれたんですかっ！くやしくて、やりたくて、たまらんじゃないですかっ！（笑）こりゃ、絶対２人にも責任とってもらわなあかんわっ！（爆）
注１）僕は善通寺の山下の大将を知ってますが、山下の大将は僕のことを知りません。山下の大将がミスターのうどんネタを聞いてどう思うのか僕はわかりませんし、大将がミスターを好きか嫌いかも僕は知りません。山下の大将はこの文章に対する責任は一切ありません。
注２）私もくまさんもミスター嫌いではありませんし、彼に対して悪意もありません。
注３）『夕方岡山でライブ』「ＫＯＲＥＮＯＳ」２００３年ライブツアー。場所は岡山デスペラート。
注４）on-senさんとimo-sanには一切責任はありません。当たり前です（笑）
あれは忘れもしない〜・・え〜っと・・〜３月２６日の朝だった。（いま、メモを見ましたね。）やっぱり出だしはこうよなあ。（笑）
前日、昼過ぎに起きたせいで夜は全く寝られず、そのまま朝になってしまって、もうそろそろ寝よか〜と思っていた午前７時３６分のことである。（おれ、なにやっとん）
例のサトミ嬢から携帯にメールがあった。
「おはよー。こちらの旅は順調さ。ところで、明朝はドコを出発？」
えっ。明朝。ってことは僕は今日の晩出発？ちゃうちゃう、出発は明日の晩や。ほんまに、もう。このとき僕は徹夜明けで意識が朦朧としていたせいか、いつものことなのか、自分の勘違いに全く気づいていなかった。
「まいど。朝早いなあー。まだ眠たいです。うどんは明朝じゃなくて明後日やでー。いちおう、高松駅で合流して貞光まで行ってそこから３時間歩く。もちろん、帰りも・・（;＾_＾Aエアサロンパス用意しとかな・・。」返信。
あ〜もう眠たいし寝よ寝よ。郵便局でお金降ろすのも、家賃払うのも、青春18きっぷ買うのも、岡山のライブのチケット予約して場所調べるのも、時刻表買うのも、携帯代振り込むのも、朝飯食うのも、他のことも全部明日、明日。今日はもう眠たいから寝る〜。とベッドに潜りこんだら、サトミ嬢からまたメールが・・。
件名：『もうすぐ高知東生』
「起こしてすまんのう。あたしさー、明日３時間歩くのかと思ってたよ！！あさってね？！確認してよかった〜☆」眠らせてくれ〜。しかし、どこやねんそれ。（お、おやじギャグ）
「それやったら阿波池田で合流する方が近いです。ほんなら僕はムーンライト高知東生で阿波池田に朝早く着くからそこで明後日28日に待ってます。」送信。
今度こそ寝よ。まじで寝る。おやすみ・・・・・・ってあれ？28日に合流したら、その日の夕方岡山でライブやろ？半日で貞光から琴平まで歩くんか？ほんなら、なかむらにはいつ行くねん？今日は２６日やから・・・うわっ！やば！今日や！今日の晩、家出らなあかんねやっ！！
ちゅうか用事なんも終わってへんし、ムーンライト高知東生の指定席取れんかったら、どうすんねん。（そんな切符ないって。）うわっ。財布の中、お札が一枚も入ってないやん。寝てる場合やないわ。ヤバイ、やばすぎる〜っ！！ちゅうか、めちゃ眠い〜！！とにかく電話、サトミさんに電話っ！！
「あ、もしもし、谷池ですけど。すんません。勘違いしてました！！うどん明日ですよね。僕今日の晩家出るんですよね。ごめんなさい〜。」
〜１時間経過〜
「・・ほんなら、時刻表確認してからまた、連絡しますので、一応、明朝、阿波池田で待ち合わせということで、よろしくお願いします。」ガチャ。
はあ。いま、何時？10時半か。もうあかん、もう寝る。16時に起きたら、お金降ろすの間にあうやろし。５時間半は眠れるな。ほんなら、携帯のアラームセットしてっ〜と、おやすみ〜〜（￣〜￣）zzz♪
♪チャラララッチャ〜♪（携帯の着メロ）
う〜ん。もう16時か？ちゃうがな、まだ14時や。こんな時間に電話かいな！ほんま誰やねん！！おれは、まだ眠いっちゅうねん！！
僕「・・あい、もひもひ・・（￣〜￣）」
Ａ先輩「あ、けんちゃん？元気？」
僕「うわっ！美人で人妻のＡ先輩っ！！ちゅうか、めっちゃひさしぶりです。どどどどどないしたんですか？」
Ａ先輩「映画の試写会当たったんやけど、一緒に行く？」
僕「えっ！も〜ちろん、行きますよ！で、いつですか？」
Ａ先輩「それが、今日やねん。今、ポストに入ってて、そやから、みんな仕事とかでゼンゼン時間取れなくて・・」
（あ〜。ほんで、半年ぶりに僕んとこ電話してきた訳ね。僕で何人目やったんやろ、電話・・）
僕「今日はちょっと・・・で、いちおう何時からですか？」
Ａ先輩「６時。」
僕「６時っ！！・・・・・・わっかりました、行きます。行きますよ！もう。」
Ａ先輩「じゃあ、５時に肥後橋で。」
あっちゃ〜。やってもた〜。やっぱ、美人に誘われるとどうもよう断らんのよなあ。つくづくコンニャクの意志やなあ。僕。
そのあと、ひっくり返るような忙しさで、用事を全部済ませて、いざ、肥後橋へ。ちゅうか、眠たい〜。映画寝てまうかも。すんませんＡ先輩。しかし、青春18きっぷをわざわざ阿倍野の金券ショップまで買いに行ったのに100円しか安ならんかった。３日分だけ欲しかったのに置いてなかったし・・。
その後、大阪フェスティバルホールでＡ先輩と「アナライズ・ユー」の試写会見て、夜１２時まで電車の時間潰すのに付き合ってもらって・・。
Ａ先輩「アナライズって、なに？」
僕「・・・周波数帯ごとに音調節するやつちゃいますか？」
Ａ先輩「それ、イコライザーやん。」
僕「・・英語の質問せんとってください・・。」（;¬_¬）
・・すんません。Ａ先輩今日は有難うございました。しかし、ほんまかわいいわ〜Ａ先輩。わ〜い、人妻と映画見ちまった♪ランラン♪
という訳で、いよいよ、出発。日付が変わって２７日、00:15 大阪発高知行きムーンライト高知東生（もうええっちゅうねん）に乗り込みます。指定席は６号車の１Ｄ席。喫煙席です。僕タバコ吸わんねんけどこれしかなかった。
うわ。目の前壁や。まあ、前の人のガチャンって椅子倒すのが気にならんからええか。阿波池田には05:23着か。あれ、サトミさんからメールが来てる。なになに・・
「今日は高知に泊まります。待ち合わせの時間、ちょっと無理そうです。阿波池田で２時間半ほど待ってもらうことになるし。だから、明日は大歩危小歩危へ行ってきま〜す。（^^）v」
なに〜〜〜っ！！こっちゃもう電車乗ってもうたがな。どないすんねんな。ほんま。もう、よう言わんわ！！
注１）『高知東生』高島れい子の旦那やったけ？（笑
日付が変わって３月２７日午前00:15分。僕は、ひとりさみしくムーンライト高知に乗っていた。
あ〜あ、サトミさん無理なんか。僕は、何をしに香川くんだりまで行きよんや。もともと２８日に岡山でライブ見るついでに、香川に寄って八十八個所巡礼マップ買いに行くそのついでに、ユースホステルの会員証の期限が今月末までやから更新するそのまたついでに、一年ぶりにサトミさんに会うて、そのついでに、久しぶりに谷川米穀店にも行けたらええかなあ〜。そうや、せっかくやからいっぺん貞光から歩いて行ってみよかな〜。ぐらいにしか思っていなかったのである。
それが、もう電車乗ってしもたがな。ＥＮ藤君と明日・・いうて、もう、今日の昼か・・たけちゃんさんのうどん食いに行く約束わざわざ断って、ひとり電車乗ってもうたがな。（ちゅうか、男との約束は断んのかい！）こりゃもう、旅人として、麺食いとして、歩かな後には引けんわな。でも、ちょっとさみしいかな。・・あ、そうや！谷川米穀店といえば、あの人がおったがな！これは絶対連絡入れとかな失礼やろ｡
僕「あ、もしもし。TAKAOさん？・・・。」
ＴＡ「・・・・ただいま電話に出られません・・・。」
どっしぇ〜。そう来たか！まあ、夜中１２時回ってから電話する方が悪いわな。もう寝よ寝よ。おやすみ〜。
男「・・ガチャン！バタン！・・ガチャン！バタン！」
なんやねん。この席、トイレ行く人がドア閉める音、めっちゃうるさいわ。
う〜ん、もう岡山か。この駅は停車時間が長いから、起きてしもたついでにちょっとコンビニまで朝飯でも調達しに行こかな。
うわっ。
中央口から外へ出たらな〜んもないやん！しもた〜！出口間違えたっ！ちゅうか、急いで電車まで戻ってきたけどもう出発まで時間ないやん。ほんま、ムーンライト初心者みたいなことしてしもた。もう、よう言わんわ。
というわけで、朝飯の調達にも失敗して半分ふて寝状態のまま、ガチャン！バタン！が気になって良く寝られないまま05:23阿波池田に到着です。この駅で降りたのは僕のほかにリュックを背負ったおっちゃんがひとりだけ。この人もうどん・・？と一瞬思ったが、僕は小心者なので声をかけるのは止めておいた。
「うわ〜やっぱ、３月や言うてもさすがに山ん中は寒いな〜。月でとるで。東の空に金星も見えよる。」（ほんまに金星なんかどうなんかは知らんケド）
寒いので駅の待合室でコーヒーを買って飲みながら、05:54阿波池田発、徳島経由、阿南行きを待ちます。
ここで、100人おったら12人ぐらいは、「阿波池田といえばやっぱり池田高校よなあ。ツタ監督は今ごろどこでなんしょんやろ？そう言えば昔、『♪ムヒ〜が丘に、かゆみを止めて池田、池田、模範堂〜♪』ってＣＭあったな〜。」とか思い出すのであるが、僕の場合はちょっと違った。
もう、２年か３年前の夏、とある有名なうどん食べ歩きサイトを見て刺激を受けた僕は、ひとりムーンライト高知に飛び乗り、同じように早朝、この阿波池田に降り立ったことがあった。琴平方面行きの電車（この地方ではみんな汽車というが）に乗り込み、発車時刻を待っていると電車の運転士のおっさんに声をかけられた。
電車ではありません、念のため(笑) by imo-san
運ちゃん「にいちゃん、観光な？」
僕「いえ、ちょっとうどん食べに来ましてん。」
運ちゃん「あ〜そうな。それやったら宮武行ったらええが。」
僕「そこ先週行きました。善通寺から１時間歩いて炎天下の中４０分並んで、うどん食べんの３分もかからんかったです。」
運ちゃん「ほ〜な。（笑）そりゃ済まなんだなあ。ほやけどワシは木村が一番美味いと思うなあ。」
僕「木村いうたら、ダシとお茶間違えるとこですよね？」
運ちゃん「ほんな奴おらんじゃろ。ワシの家な、木村のほんそこや。もう、しょっちゅう食いよるけど木村のうどんは一番美味いわ。」
なんとまあ、うらやましい話やないですかっ！家が飯山の木村の横って。そういえば、僕が「恐るべき〜」を読んだ後、初めて行った店が飯山の木村やった。いっぺん店の前を通り過ぎて、名誉の撤退をしそうになったんか、どうやったか忘れたけど、あの木村や。それからというもの、僕は「阿波池田」と言われれば「木村」、「木村」と言われれば「阿波池田の土讃線のおっさん」を思い出すのである。
とか何とかしよるうちに、05:54阿波池田発、阿南行きが動き出します。乗客は各車両に２人か３人。朝霧の中、吉野川沿いを電車はゆっくり下っていきます。
06:24予定通り貞光駅を下車。この駅で降りるのは僕だけです。この駅から乗るの人もいませんでした。車掌さんに「ほんまに降りるん？」って聞かれました。「おっさん、そんなこと言わんとって〜な。」この車掌さん、谷川まで歩こうとしよるの知っとって聞いたんかと不安になるやん。（まあ、そんなはずないねんけど）
誰もいない貞光駅を降りると、道はすぐ右と左に別れている。え〜っと、どっちに行ったらええんやろ？吉野川を上るように歩けばええんか、それとも下ればええんか・・。川のこっち側なんか、対岸方面なんか、さっぱり分からん。道を聞こうと思っても誰もおらんし。まあここは、いっちょ「旅人の勘」で行ったろか。ん〜。左や左。なんか左の正面の山があやしいような気がせんでもない。imo-sanもそう書いとったし・・・たぶん・・・。
え〜い、やっぱり駅まで戻ろう。あ、あったあった。駅周辺の観光マップ。え〜っと、いま貞光駅やから〜っと・・・。・・ちゅうか、これ見てもいまいちよう分からん。（;¬_¬）「至る谷川米穀店」とか書いてくれてあったら、歩きの人に親切やのに・・。（そんな奴おらんて）そうや、ちょっとTAKAOさんに聞いてみよ。あれ。TAKAOさん、あの後すぐに電話くれとったんや。気づきませんでした。ほんまにすんません。
電話「・・・。」
どう考えても、この時間は普通寝てはるわなあ。とりあえず、さっきとは180度逆方向へ行ってみて、まあ、広い道に出たら道路標識ぐらいあるやろ。と今度は右の道へ歩き出します。う〜ん、全店制覇だけではちょっと無謀やったかも。今回はできるだけ荷物を軽くしたかったから、赤ペンでうどん屋を書き込んだ愛用のツーリングマップル持ってこんかったんよなあ。（泣）
初めての土地を長い距離歩くつもりだったら、せめてルート沿いの地図くらいは持って行きましょうね。町中だったら行き当たりばったりも楽しいですけど。それと全店制覇は詳しいようで細部がいい加減なので注意しましょう。
しばらく歩いてまた右へ曲がると貞光工業高校？やったかな、その横を通り過ぎて、吉野川の土手の上の広い道へ出ます。目の前には吉野川が雄大に流れてて、河川敷公園が綺麗に整備されいて、朝霧の中をどっかのおばちゃんが散歩してます。川向こうには美馬の町、さらにその向こうにはどこだか分からん山々。振り返ってみると、どれがそうなんか分からんけど剣山の頂きが、・・・やっぱり、見えたんかどうなんかもようわからん。♪（;¬_¬）
「♪深呼吸しよ。す〜は〜。す〜は〜。」
僕はとっても平和で、すがすがしい気分になって、もう道が分からんぐらいの事は、ちっちゃなことやと思えてきた。土手の上の道から左手を見ると赤い鉄橋が見える。「あれ、渡ってみたいな。」そう思ったら進路決定。とりあえずあの橋を渡る。次のことはその後で考えたらええやん。（笑）
橋の端に（笑）「美馬橋」って書いてある。向かって左側に歩道がついているのでそこを渡ります。美馬橋を半分ぐらい渡ったところで、右手を見てみる。「うわ〜吉野川の朝霧の向こうに朝日が昇ってる・・・。」感動〜。来て良かった〜〜♪
思わずスキップで美馬橋を渡りよったら、橋の上ですれ違った通学中の女子高生に白い目で見られたが、（なにやっとん（;¬_¬））なんとか渡り切ったところに道路標識を発見。それによると、坂出方面は国道４３８号線をずっと行けばええらしい。いや、べつに別Ｐ君やないねんから坂出まで歩こうとは思わんわ。（笑）
私は谷川米穀店へ全行程歩いて行ったことありませんので念のため。どっかはバス使ってます。
すぐさま全店制覇で確認したら、めざす「谷川米穀店」も国道438号線沿いにあるではないか。この道で合うとった〜。「旅人の感」も捨てたもんではない、とひとり悦に浸りながら、新聞配達のおっちゃんが（ほとんどその人専用と思われる）ちょっとした近道を通る瞬間を目撃して、小市民的しあわせを噛みしめながら歩いていると、前方の交差点の左手に「♪開いてます、あなたのローソン」（そんなこと、書いてないって。）を発見した。ほんとに開いてて良かった〜♪（^^）vこれで、朝飯調達できる〜♪時刻は06:57。ちょうどその時、待ちに待ったTAKAOさんからの電話がかかってくる。
注１）「香川くんだり」という表現で気分を害された方、誠に申し訳ありません。私は香川県が大好きです。悪意があって使った訳ではありません。ご了承くださいませ。
あれは、忘れもしない、３月27日午前６時57分〜。（覚えとるやないの〜っ！）ニヤリ♪（￣〜￣）〜それは、美馬町のローソンの前だった。
TAKAOさんから携帯に電話がかかってくる。
ＴＡ「もしもし、Ｔ池君？」
僕「あ、TAKAOさん♪変な時間に何回も電話してしまってすみません。m（__）m」
ＴＡ「もしかして、こっち来とん？」
僕「さっき、美馬橋渡ったとこです。（笑）」
ＴＡ「え〜！で、何しよるん？そんなとこで。」
僕「歩いて谷川へ。（笑）」
ＴＡ「え〜っ！うそ〜！そんなん、止めとき。すっごい距離あるで。谷川やったら私、車で乗して行ったるけん戻って来〜。そこからやったら、戻ってもまだ間に合うけん。」
僕「でも・・・。」
ＴＡ「もしかして、別Ｐ君やimo-sanの真似したいん？」
僕「・・うん。」
ＴＡ「いや、ほんまに止めとき〜て。トンネルとかめっちゃ怖いよ。車でも怖いもん。あの人ら、ちょっとおかしいけんな。ほんま止めとき〜。」
僕「（笑）おかしいて・・（笑）でも、もうここまで歩いてきたし。」
ＴＡ「え〜。でも、ほんまに歩きたいんやったら、これ以上引き止めたら悪いけん、もう言わんけど、ほんまに気付けるんよ。途中で歩けんようになったら、いつでも電話して来〜や、迎えに行ったるけん。」
僕「いやほんまに有難うございます。もう歩けんようになったらちゃんと電話します。」
ＴＡ「ほんなら、私、先に行って谷川で待っとるけん。」
僕「え〜！ほんまですか！有難うございます。じゃあ、とりあえず、美霞洞温泉に着いたらまた電話させてもらいます。ほな、失礼いたします。」ガチャ。
まあ、携帯電話やから切っても「ガチャ」とは言わんねけど・・♪（;¬_¬）。ほやけど、TAKAOさんええ人や〜♪。なんてええ人やろ♪だいぶ、元気出てきた♪
あ、今の電話でもう携帯のバッテリー切れそう・・。いざと言う時、電話かからんかったら遭難や。ちょっとシャレならんなあ。これで、ほんまに後には引けんようになってしもた。よっしゃ〜！気合入れて行くで〜！まずは、ローソンで朝飯や〜♪ちゅうか、めっちゃ腹減った〜（;¬_¬）
という訳でローソンでエネルギーを補充します。とりあえずトイレを借りて、おにぎり２個とキットカット、それと500ｍｍの「まろ茶」のペットボトルを買います。「TJ Kagawa」を探したけど、ここは徳島県やし置いてなかった。おにぎり２個はその場で食べました。
そういえば前に、会社の先輩のトライアスロンやっとるＳ藤さんから聞いた話によれば、ちゃりんこ漕ぎながら常になんか食べてエネルギーを補充しつづけるんやそうな。でないと長距離は走れないと。それから、水は常に飲みつづけろって言うとった。のどが乾いてなくても飲むんやて。できればスポーツ飲料を、そのままやったら濃いから水で薄めて飲んだらええ。でないと筋肉に乳酸がたまって疲れを感じるとかなんとか・・そやから水を飲んで汗とかオシッコで乳酸を体外に出すんやて。難しいことはようわからんけど・・。そういえば前にテレビで、世界中チャリンコで旅しよる人がコーラに塩入れて飲みよるのを見たことがある。まあ、塩はうどん食べたら摂取できるからええか・・。（笑）いつもは変な先輩やけど、今日だけはＳ藤先輩の助言を信じてみることにします。（笑）これで、もし途中で歩けんようにでもなったら、大阪帰ってＳ藤先輩のオゴリで飲み会や〜（￣〜￣）♪
キットカットは高カロリーやし、ちょっとづつ割ってコマメに補充しよ。遭難したときにも役に立つやろ。そやけどやっぱりキットカットと言えば高校の時の同級のＭ田君よなあ。彼はキットカットが大好物で遠足のおやつはいつもキットカットを袋で買うて来よった。小学生の時やこ、おやつ300円までって決められとったからキットカット一袋買うたら、あとなんにも買えんが。（笑）ところが、高校の修学旅行のとき、彼にとって記念すべき出来事が起るねん。
同じクラスにＢ惣君いう奴がおって、こいつがまた、大の「ぱりんこ」好き。「ぱりんこ」って塩味のせんべいな。こいつが修学旅行のおやつがお徳用の「ぱりんこ」２袋という、また、とんでもない奴やねん。（笑）でも、Ｍ田君と違ってＢ惣君は自分の「ぱりんこ」をバスの中でクラスのみんなに配り歩くんよ。ほんなら、みんなは「ぱりんこ」をもろたお礼に、Ｂ惣君にチョコレートやおかしをあげるわけや。（笑）これを見たＭ田君は自分のキットカットをバス中に配り歩く・・・。（笑）
そしたら不思議なことに次回の遠足から、僕らのクラスではみんな、おやつを「ぱりんこ」と「キットカット」以外のもので揃えるという、生物学的にも極めて特異な現象が起るんや。そら、キットカットが食べたなったらＭ田君と交換したらええからな。（いや、まじで。笑）
遠足の前日になると、
甲「Ｍ田、キットカット買うとるかなあ。」
乙「きっと、買っとうよ。」
甲「Ｂ惣も、ぱりんこ買うとるかなあ。」
乙「きっと、買っとうで。」
甲「そりゃ、Ｍ田やろっ！」などと言い始める奴まで出てきたぐらいやから。（実話）これを「ぱりんこキットカットーの法則」言うんです。（笑）
これ、学会に発表したら「ネスレ平和賞」ぐらいもらえるやろか？＞別Ｐ君。
もらえません（キッパリ）
話がだいぶ横道にそれたが、僕はキットカットを見るたびにこれを思い出す。（それすぎじゃ）
ローソンから少し歩くと左手に高速道路の美馬ＩＣが見える。このあたりで、ちょっと懐かしい匂いが鼻を突く。（僕の田舎は淡路島なもんで・・）あっこれ家畜やな。牛か豚。そういえば、親父がよう言うとった。
親父「豚くさの美馬。」
僕「え？なにそれ？美馬やのになんで豚なん？」
親父「ほらもう、ＩＣの上がり口のとこ、豚臭いったって！豚臭いったって！」（美馬の方ごめんなさい）
という訳で、我が家では「豚くさの美馬」と言うのはひとつの語句であり、また、『「豚くさ」は「美馬」の枕詞やからの、例えば「ぶたくさの春風におう美馬の橋」のように使うんじょ。決して「美馬」単体で用いたらあかんぜ。係り結びの法則じょれ。』と、幼い頃から、親父に吹き込まれていた為、「ここがあの！」という感慨でいっぱいになって、一句読みながら、ちょっとだけ鼻をつまんで僕は美馬ＩＣを通過した。
さらに歩くと、だんだん道に勾配がついてくる。この辺で坂を登る為のエネルギー（キットカット）をちょっとだけ補充する。途中、チェーンの脱着場があったりして、冬は雪積もるんや〜。とか思いながら坂道を登って行く。左手に、名前は忘れたけど美馬観光のバス停と自動販売機があって、美馬町の観光マップの看板を過ぎたあたりから、急に坂がきつくなってくる。もう、軽トラやこ、ウインウイン言うて坂を登りよる。走ったら追い抜けるかなって一瞬思うけど、無駄なエネルギーをつこてる場合やないので、軽トラを一瞥しただけで止めておく。左手には山、右手には薄く霧のかかった谷を見ながら、まじで心臓破りの猿坂と狙坂を登って行きます。この辺でちょうど午前08:00。
「ちゅうかこの坂めっちゃキツイで〜（＞＿＜）ほんまあの人ら、この坂よう登ったな〜。アホちゃうか？ほんま、信じられんわ〜。」
などと、自分の体力不足と運動不足を棚に上げて、偉大なる先人をボロクソに言いよります。（すんませんm（__）m）
私は登ってませんって。レポートにも急坂に負けてバス使ったって書いてますやん。
途中、半田そうめんを食べさせてくれるところがあったけどまだ開いてなかったり、「自動販売機あります」の看板だけあって、どこにも自動販売機が見当たらないところを過ぎて、畑を耕っしょるおっちゃんとおばちゃんに挨拶しながら、へ〜こら坂を登って行きます。（はあ、キツイわ〜）
08:30頃、ついにトンネルを発見。やった〜（＞＿＜）ここまで来た〜〜。その手前に「ビレッジ美合まで８.４km」の看板と自販機のある休憩所も発見。「え〜っ！８.４kmって（汗）、もうよう言わんわ〜（＞＿＜）」歩いたら１時間半から２時間ぐらいか・・とか考えつつしばらく休憩。だいぶ日も登って天気もいいので少し暑いです。たしか、別Ｐ君はここでコーンポタージュ、imo-sanはＯ塚製薬の「吉野川の水に砂糖入れて売ったやつ」を買うたんやったっけ？僕は、お茶がまだ半分残っとるので、自販機にコーンポタージュと吉野川の水が売っとるかどうかだけ確認して何も買わずに立ち去ります。ちなみに、コーンポタージュはもう置いてませんでした。残念。
ここで５分ぐらい休憩して、いよいよ最大の難関、トンネル越えに向かいます。
注１）美馬に住んでる方、申し訳ありません。悪意があっての表現ではありませんのでどうか広い心でお許しください。私の住んでる淡路島もたいがい臭いです。（笑）親近感の現れととっていただければうれしいです。
注２）あまりの坂のキツさに、偉大なる先人に対して暴言を吐いてしまいましたが、本当は尊敬しております。申し訳ありません。どうか広い心でお見逃しくださいますようお願いいたします。
あれは、忘れもしない〜３月27日午前８時30分〜。（まだ言よんかい！）ほんまに、忘れたいけどよう忘れん出来事だった。
僕は、徳島県と香川県の県境にまたがる野田ノ井、三頭、両トンネルの前で、気合を入れているように見せかけて、実のところは立ちすくんでいただけやった。（びびっとんかいっ！）僕のすぐ横をトラックがあざ笑うかのように遠慮もなしに走り抜けてトンネルの中へと吸い込まれていく。かと思えば今度は爆音とともに車がトンネルの中から湧き出てくる。
「うわ〜・・・。ちゅうか、めっちゃ怖い〜（＞＿＜）」（笑）
先ずは、野田ノ井トンネル。先ずは、と書いたが実はこの時、僕自身トンネルが２つもあるなんてことはこっれぽっちも思っていなかった。
僕は、入口でトンネルの名前と長さを確認する。『野田ノ井トンネル300ｍ（徳島県）』と書いたプレートが、向かって左側の歩道の入口に付いている。（正確な長さは覚えてません。）「約300ｍか。余裕やな。（泣）」と自分に言い聞かせるようにつぶやき、僕は一度大きく息を吸ってそのままトンネルの中へ一気に飛び込んだ。
「はあ。はあ。はあ。こんだけ本気で走ったん、残業してて気づいたら終電ギリギリやって会社から谷九までダッシュしたとき以来やな。（汗）」
谷九（大阪市営地下鉄谷町線谷町九丁目駅）は会社がある松屋町筋のほうから来るとちょうど駅の前にずら〜っと長い坂があるんよ。あん時は、この坂をひ〜ひ〜言いながら、最後は歩いとんか走っとんか分からんようになりながら、せやけど多分ココロの中では、１ハロン11秒２ぐらいで走っとったと思うわ。阪神の最後の坂をひ〜ひ〜言いながら登る馬の気持ちがよう解かったで。（その割に、ゼンゼン当たってませんがな。）
「はあ。トンネルなんかチョロイもんや。そやけど、トンネルの途中で僕を抜いていった車、どない思たやろ。（笑）」
右手に握り締めていたので、泡だらけになったお茶を一口飲み、ほっとしたほんの数秒後、目の前にまたトンネルが・・。
「う〜わ。う〜っそ！まじで〜。ちゅうか、もうよう言いませんわ・・・。」
さらに、トンネル入口のプレートを見て血の気が引いていく・・。
「三頭トンネル２６４８ｍ・・・・。」〜（￣〜￣）サ〜〜〜。
「ひ〜〜〜ん・・・。無理や、こんなん。誰やこんなトンネル作ったん・・アホちゃうか・・。おっさん、ちょっとは物考えよ〜。もう信じられへん。僕、帰らせてもらいますわ・・。（泣）」
どっちかと言うとトンネル作った人は偉いです。歩いて抜けるほうがアホです。さすがに今度は息止めて走り抜けるわけにいかんしなあ・・・。
僕はさっきのトンネルの10倍ぐらい長い時間、気合を入れる振りをした後、意を決して、ほんま死ぬ気でという形容はこれぐらいの覚悟を言うんやなあって思いながら、お茶のペットボトルを潰してまうぐらいにギュ〜っと握り締めてトンネルの中へ一歩足を踏み入れた。
何が怖いって、音ですよ音。トンネルの入口付近や、もちろん中も、グオワ〜〜〜！！！ってものすごい爆音が響き渡る。目の前でF-16が発進したような、あるいは、重低音用の円筒形スピーカーの中にいるような、もう、ほんま気が狂うか言うぐらいすごい音。特に一番怖いのが、爆音響かせて近付いてくる単車。（マフラー改造するな〜、どあほっ！）（泣）制限時速40km/hって書いてあんねんからせめてもうちょっとそろそろ〜っと走って〜な、お願いやから。しかも、後ろから来よる車は追い抜かれる瞬間まで音しか聞こえん。さらに、大型トラックなんか通ると風圧で吸い寄せられそうになる。
僕が歩いとるのに気が付いてくれた車はスピードを落としてくれるけど、（ありがと〜）まあ普通は、まさか人が歩いとるとは思わんやろから真横すれすれを通り抜けていく奴とかおる！（怒）万一、気づいててくれたとしても運悪く対向車なんぞ来ようもんなら、車線をはみ出すわけにもいかず、やっぱりギリギリすれすれのとこを通り過ぎていきよる。ひ〜ん（泣）
「まじで怖い〜。めっちゃ怖い〜。ちゅうか、もう車来んなや、どアホっ！こんなとこに何の用事があって通りよんねんっ！明日にせえ、明日にっ！ほんまにめっちゃ怖いんじゃ、ボケっ！殺すぞお前ら、ほんま！後で覚えとけよっ！〜〜（泣）」
ってナンバー控える余裕もないクセに、車が近付いてくるにしたがって声が大きくなる。（;¬_¬）でもって、トンネルの中っていろいろマーキングがしてあったり、木の枝やタバコの箱が落ちてたり、なぜか軍手が片手だけ・・・（怖）。それから、勢い余ってトンネルの壁に衝突した車のタイヤの跡と、壁のひび割れから滴る雨水・・・。もうやめて〜〜〜（＞＿＜）
「あかん、なんか楽しいコト考えな。そうや、歌うたおう。歌。」
「え〜っと。え〜っと。知っとる歌〜。楽しい歌〜。」
「あ、あった！」
♪〜お〜れは、じゃいや〜ん。が〜きだいしょ〜〜。♪〜て〜んかむ〜てきの男だぞ〜〜。♪〜の〜びた、スネオは目じゃないぞ〜〜。
・・・。
・・の〜びた、スネオは目じゃないぞ〜〜。（え〜っと・・・。）
・・・・・・・。
♪〜お〜れは、じゃいや〜ん。が〜きだいしょ〜〜。（泣）
ちゅうか、そっから続き知らんがな〜（笑）もう、TAKAOさん助けて〜っ！僕がアホでした〜。言うこと聞いて引き返せばよかった〜っ！なんで、こんな思いまでして、うどん食いに行かなあかんねん。泣っ〜！（＞＿＜）電話をしようにも、トンネルの中は電波届かんし、それ以前に、僕はいつも携帯を上着のジャケットの左の内ポケットに入れてあるんやけど、そこから取り出すにはまず、上着のファスナーを下ろさなあかん。その時、その一瞬をついて何者かに魂を持って行かれそうな気がして、怖くてようせん。とまあ、心臓をばっくんばっくん言わせつつ、胸の前にお茶のペットボトルを抱きしめながら、ず〜〜っと出口まで一心不乱に歌い続けた甲斐あって、ちょうどじゃいやんの歌423番を歌いだした頃、前方にうっすらと明かりが見え始め、その後小鳥のさえずりが聞こえてきた。
やった〜（＞＿＜）助かった〜〜。。これも全て、じゃいやんのお陰や〜。あれ、もしかして天国へ来てしもたんとちゃうよなあ・・（;¬_¬）（汗）約４０分ぶりの、ほんま久し振りの太陽の光です。あ〜ぼく、まだ生きてんのや〜♪太陽がこんな恋しいと思たん初めてや。
その時、またトンネルが「ゴーっ！！」と言い出したので、慌てて安全なところまで逃げる。
サトミさん来んで正解や。こんなとこ歩ける女は信じられへん！もう２度と歩かんわ、こんなとこ。ちゅうか、知っとったら絶対よう来ん。ほんまここ歩いた奴は頭おかしいわ。アホや。普通の神経しとったら絶対無理。途中で発狂するわっ！１万円やろ言われても絶対やらんな。５万円、10万円くれてもよう歩かんわ。ほんまマジ怖い。
だからせめて長さくらいは調べて行きましょうよ。でも美馬観光バスの運転手さんの話だと、野田の井の集落の人が美霞洞温泉へトンネル越えて歩いて行くこともあるそうです。
三頭トンネル２６４８ｍ・・・絶対、忘れん。トンネルの出口で時計を見ると、ちょうど時刻は09:08。香川県って書いてある標識がある。・・・あれ？左手にトンネルを避けるように側道発見・・まさかとは思うけど・・。
トンネル開通前の旧道は徒歩2時間ほどかかる峠道だったとか。
地図で確かめたら後悔するかもしらんから、見るのは止めとこう。（乾き笑）
注１）私は根性なしの小心者ですが、決してＪ○ＲＯに訴えられるような誇大表現はしておりません。
注２）このトンネルを歩いて通り抜けた、そう、この文章を読んでいるそこのあなた。あなた方はアホです。三頭トンネルは「音が怖かったです。」の一言で済むような生易しいもんじゃありません（怒）on-senさん食べ歩きの記録第十三回、第十六回、第二十五回およびimo-san第８回巡礼の旅を参照してください｡
注３）『野田ノ井トンネル』218ｍ。『三頭トンネル』2648ｍ。最近このトンネルが出来たお陰で徳島県美馬町と香川県琴南町を簡単に行き来できるようになったらしい。それまでは細い道を遠回りしてたそうです。やっぱり、作った人は偉かったです。